武士町や四角四面に水をまく 一茶
[#地から1字上げ](打水の流るる先の生きてをり――上野泰)
僕はときどき暇をみつけてはかつての象舎にまででかけ、象のいなくなった象の住みかを眺めた。鉄柵の入口には太いチェーン錠がぐるぐると巻きつけられ、誰も中に入れないようになっていた。柵のあいだからのぞいてみると、象舎の扉にも同じようにチェーン錠が巻きつけられているのが見えた。警察は象をみつけることができなかった失地を回復するために、象のいなくなったあとの象舎の警備を必要以上に固めているようだった。あたりはがらんとして人影もなく、象舎の屋根の上に鳩の一群が羽を休めているのが目につくだけだった。広場の手入れをするものもなく、そこにはまるでチャンスを待ちかねていたように緑の夏草が生い茂りはじめていた。象舎の扉に巻かれたチェーンは密林の中で朽ち果て廃墟と化した王宮をしっかりと守っている大きな蛇を思わせた。たった数ヵ月の象の不在は、ある種の宿命さえをも思わせる荒廃をその場所にもたらし、雨雲のような重苦しい空気をそこに漂わせていた。
[#地から1字上げ](象の消滅、四九頁)
[#地から1字上げ](村上春樹全作品8、講談社、1991年)
じゃあ、もう一回だけ。
[#地から1字上げ](もののあはれ)
[#地から1字上げ](吉高由里子・36歳)
[#地から1字上げ](新しい本麒麟、はじまる)
先生、優先順位を付けて下さい。なぜ、ボッティチェリのキューピッドが目隠しをしているのか。
諸君、新プラトン主義だ。
[#地から1字上げ](ラ・プリマヴェーラ)
[#地から1字上げ](放送大学)
「ひゃあー。しびれちゃうね」
「でしょう、でしょう」
「それで蓮華は?」
「芥川と同じ。木の下で死んだ五位の口に、鮮やかな蓮華が咲くのね。この蓮華については、ちょっと面白いことがあるのよ。元はまた吉田精一の『芥川龍之介』なんだけど、『往生絵巻』に関して、こんな正宗白鳥の言葉が引いてあったの。「死骸の口に白蓮華が咲いていたというのは、小説の結末を面白くするための思い付であって、本当の人世では阿弥陀仏を追掛けた信仰の人五位の入道の死骸は、悪臭芬々として鴉の餌食になっていたのではあるまいか」」
「いうねえ」
「うん。白鳥はさらに、ここまでいったと書いてある。この蓮華は芥川が信じて書いたわけではなく「芸術の上だけの面白づくの遊びではあるまいか」。これを読んだらちょっとほっとけないところがあるでしょう。どういう文脈から、そんな言葉が出てくるのか知りたくなる。出典は『芥川龍之介の芸術を論ず』となっている。これは調べなくてはと思っていたら、たまたま吉祥寺の古本屋さんで、昭和17年に創元社から出た正宗白鳥の『作家論(二)』に出くわした。痛んでいたけど、その分安かった」
「巡り合いだ」
[#地から1字上げ](六五頁)
[#地から1字上げ](北村薫、六の宮の姫君、東京創元社、1992年)
カッスー、ガンバ!
[#地から1字上げ](どこを直せばいいですか・嵐)
私はタレントの石川佳純は大貫妙子だと思う。キリンビールのCM(本麒麟)の「おいしい!」という最後のセリフは、まさに都会派シティーポップス(令和)の音がする。そして、当然ながら、渦中の福原愛は中島みゆきだろう。そうなると、当然、じゃあ、卓球のユーミン(松任谷由美)は誰なんだ!という厳しい声が上がるかもしれない。みう・みま・ひな?あるいは、三千本安打のハリさん(張本)か。いきなり昭和が出てきたが、良いビールを飲んだ後では、論じられた対象の表情が変わり、その論理や読解の力で、自身の感受性や思考も大きく変わる。自分が分かるお酒ばかり消費するのでは、恐ろしいもの、難解なものへの畏怖が生まれない。簡単に理解できない「石川佳純の本麒麟」(秋味)を飲むことが必要です。それでも、まだ、じゃあ、卓球の谷山浩子は誰だという者があれば、ゲヘナへ落ちよ。若宮三紗子(メイ)、内緒でそう読んでいるの。ふだん、お酒は飲まれるんですか。
[#地から1字上げ](これまでは、週に2回くらい)
[#地から1字上げ](音楽評論家・猫玉龍一)
覚悟して
大変なことが起こる
[#地から1字上げ](デューン2・予告編)
カッスー、伝えるべきことがある。
[#地から1字上げ](仕事を替えたら?)
[#地から1字上げ](私の夫は国王なの)
[#地から1字上げ](英国王のスピーチ)
*
先生、何が足りなんでしょうね。
諸君、お前だよ。
*
お知らせ
このたび、体操・宮田笙子選手の20歳の誕生会を開きます。やす子さんもフワちゃんもみんな来て下さい。よろしければ、陣内智則さんも飛び入りで、フワちゃんの髪の毛を引っ張って下さい。ボクは元気です。
[#地から1字上げ]――焼肉店「牛宮城」(宮迫拝)