此の道や行く人なしに秋の暮 芭蕉
[#地から1字上げ](野ざらしを心に風のしむ身かな――芭蕉)
あなたはどう思いますか。
上川陽子外相の発言要旨 (知事は)大きな大きな命を預かる仕事であります。その意味で今一歩を踏み出していただいたこの方(候補者)を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか。私も初陣のときに皆さんに「うみの苦しみにあるけれども、ぜひうんでください」と演説で申し上げた。この候補者のことを思うと、その場面が頭によぎる。今日は男性もいらっしゃいますが、うみの苦しみは本当にすごい。でもうまれてくる未来の静岡県、今の静岡県を考えると、私たちは手を緩めてはいけない。
[#地から1字上げ](東京新聞)
僕は責任を感じてるんだ
そんな事ないわ
安心して
あなたのせいじゃない
もっと大きな理由があるわ
悲しいけど
医者を呼んだ?
医者では治せない
寝込んだ全ての原因は
精神的な事よ
自分自身の問題だから
一人で何とかする
かわいそうに、君がこんな
辛い思いをするなんて
でも精神的な事だけなら……
精神的な事だけ?
私たちは
同じ部屋にいるけど――
住んでる星は違うわね
僕は君の発言の
被害者だけど――
君の表現能力は
すごいと思ってるんだ
男を勇気づける事が出来る
持ってきたわ
本当に? 早くして
[#地から1字上げ](街角・桃色の店 The Shop Around the Corner)
この上川外務大臣の発言要旨は、男性読者と女性読者とでは根本的にその感じ方が違うという点にこそ問題の本質があるのではないか。日本語の「うみの苦しみ」の中には、男性には絶対に経験できない「うみの苦しみ」があることは生物学的な事実である。だから、女性である上川外務大臣のこのような、多義的かもしれない「うみの苦しみ」発言に対して、いくら国会議員だからといって、男性が、自分では絶対に知りえない、その「生物学的なうみの苦しみ」を理由として、問題だ、問題だと論うのは、その分を超えた越権行為でなければ、必然的に、その男性は誰かにそそのかされているという結論にならないか。聖書や沙翁はいざ知らず、われわれは今までそんな失敗をしたことはないと言えるだろうか。今はまだ、それしか言えません。
羊はなんにも言わないと思ってる
黙ってもしゃべっても愛は変わらないのに
[#地から1字上げ](中島みゆき、羊の言葉)