記者 危機管理として組織がやるべきことは、選手個人の進退問題以上に、これからチームとして戦う選手たちのことであり、オリンピックの国際ルールだから4人で戦うのは仕方がない、これが日本人のフェアプレー精神だ、感動した、などとは言わず、八方に手を尽くし、チーム日本がパリで勝つために、卑怯・反則と言われても、なんとか補欠を繰り上げて、われらがニッポン体操女子が、全盛期のTOKIOのように、5人の完全な数で舞台に立つことを、お膳立てするのが芸能事務所や裏方ではないのか。
会長 もういいじゃないですか。宮田は辞表を書いている。迷惑行為はやめて下さい。ころすぞ!
[#地から1字上げ](新党わさお合唱団)
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僕はそれに対して新聞に書いてあるようなごく一般的なありきたりの説明をした。しかし彼女は僕の口調の中に不自然に歪められた冷淡さを感じとったようだった。僕は昔から嘘をつくのがかなり苦手な方なのだ。
「象がいなくなったときはすごくびっくりしたでしょ?」と彼女は二杯目のダイキリをすすりながら、なんでもなさそうに訊ねた。「象が一頭突然消えてしまうなんて、誰にも予測できないですものね」
「そうだね。そうかもしれない」と僕は言ってガラス皿に盛られたプリッツェルを手にとり、ふたつに割って半分を食べた。ウェイターが回ってきて灰皿を新しいものにとりかえていった。
彼女は興味深そうにしばらく僕の顔を見つめていた。僕はまた煙草を口にくわえて火をつけた。三年も禁煙していたのに、象が消えて以来また煙草を吸うようになってしまったのだ。
「予測なんてできっこないよ」と僕は笑って言った。「ある日突然象が消えちゃうなんて。そんな前例もないし必然性もない。理にもかなっていない」
[#地から1字上げ](象の消滅、五三頁)
[#地から1字上げ](村上春樹全作品8、講談社、1991年)
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「これは処分ではない」…宮田笙子を「パリ五輪辞退」で決着
日本体操協会の対応はフェアなのか
宮田が記者会見をして「反省」「出場」で良かったのでは
だが、それはこの事案と正面から向き合ったと言えるのだろうか。私自身は、協会が宮田選手の会見の場を設けて、反省を示す機会を作るべきだったと考えている。19歳の選手にとって会見はつらいものかもしれない。しかし、その場で自分の行いと真摯に向き合ってきちんと謝罪することができたら、試合に復帰するチャンスを与えて良かったのではないか。1度過ちを犯しても、罪としっかり向き合い、更生した上で再チャレンジする姿は、五輪の精神に反するものではないと思う。
ただ当然、「それでは甘い」という声もあるだろう。であれば、日本体操協会は覚悟を持って宮田選手を五輪日本代表から外すことを「正式な処分」として行うべきだった。そして、この「罰」が宮田選手の「罪」にふさわしいと認定した「量刑の理由」をきちんと説明すべきだった。
しかし、日本体操協会の対応は、そのどちらでもない。結果、飲酒・喫煙という「罪」に五輪に出場させないという「罰」を敢えて選んだ理由は、曖昧なままにされている。もし、日本体操協会が世間の騒ぎをやり過ごすために、正式処分を経ることなく選手から一番大切なものを奪おうとしているのなら、それは「フェアプレー」とは言えないのではないか。
一人の若者の選手生命、人生が懸っている問題だ。日本体操協会はこれからでも、協会としての見解を一つひとつはっきり説明しながら、事件にも、宮田選手にも、正面から向き合わなければならないと思う。そうしなければこの「辞退」には、もやもやとした割り切れなさだけが残るのではないだろうか。
[#地から1字上げ](元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士が指摘)
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野村修也氏、「サンデーLIVE!!」で
宮田笙子「五輪辞退」を解説「問題は処分の手続きと処分の重さ」
コメンテーターで弁護士の野村修也氏は協会が決めた今回の判断に「協会の行動規範には明らかに抵触していますので非難されることは仕方がないと思います」とした上で「問題は処分の手続きと処分の重さだと思います」と指摘した。
続けて「基本的には本来は、あらかじめこういう行為をしたらどういう処分をするのかっていうことが明確になっていることと、それから懲罰委員会っていうのが本来開かれてそこで先例などを踏まえて他の競技と比較をしながらいわば処分の重さを決めていくっていうのが手続きとしてはあるはずなんですけど」と解説し「今回はいわば当事者の間で話し合いをして『辞退』という形をとっていますので、そのやり方で本当によかったのか?どうか?ということと、一般的にこれまでの先例を比較した場合には、やや重たい処分になっていますので処分としてやった場合はこうなったのかどうか。本当に本人が納得して辞退にいったのか?そこは確認しないといけないと思います」と指摘した。
[#地から1字上げ](報知新聞社の意見・縮約)
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――最近、日本の武井壮が、立て続けにいいことを言っている。
武井壮 宮田笙子の五輪辞退で指導者陣に憤り
「会見くらいしなさいよ!」「監督不行き届きです」
出場辞退という判断には、賛否が分かれている。武井は「擁護している人もたたいている人も、半分くらいは感情論」としつつ、「そういう話じゃないなと思ってて」と自身の見解を示した。
「十代のアスリートを預かって、ナショナルトレーニングセンターで合宿するとか、ナショナルチームで合宿をするとかいう時に、喫煙、飲酒をするような指導をしてるってどういうことだよ?監督不行き届き以外の何物でもない」。怒気を含んだ思いは、代表チームの監督者、指導者に向けられた。
今回の問題は、情報提供によって判明した。武井は「ナショナルですよ?日本代表の合宿とかそういう時に、指導者がね、オリンピックに出るような、しかもキャプテンになるような選手に、代表の活動期間中くらい、普段から(喫煙、飲酒を)やっていたとしたら、だいたい分かるわけじゃないですか?」と指摘。「コーチに内緒でやっていたとしても、選手内のうわさとかでいろんなことが分かったりする。そういうことをさせないように、大学のコーチも監督も、ナショナルチームのコーチも監督もいるわけで、そこの人たち、ほったらかしじゃないですか?」と続けた。
日本体操協会は19日に都内で会見を開き、謝罪や状況説明などを行った。しかし宮田と最も近くで接していたコーチ陣は会見を行っていない。武井は「会見もしないで…。まずあなたたちね、会見くらいしなさいよ。“我々の監督不行き届きで大切な選手がこういうことをしてしまった。申し訳ない”と。十代の選手を預かっているんですよ?それが20歳以上しかダメという飲酒とか喫煙とかを、そんな現場でやっているのを許しちゃってる時点で、監督不行き届きです、ただの。そこがまず責任を取るべきじゃないですか?」と憤りは収まらなかった。
[#地から1字上げ](スポニチ)
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記者 会長、宮田選手の声が聞きたい。代表本人の会見を開いて下さい。
会長 それはできない。彼女は、現在、心の病気ですから。
記者 宮田選手は、今、病気なんですか。
会長 組織の話をよく聞き給え。私は、現在、彼女は心の病気だと言った。心の病気は日本では病気ではない。だから、JOCは補欠の繰り上げを認めなかったのだ。ガハハハハ。
記者 会長、迷惑行為はやめて下さい。
会長 ころすぞ!
[#地から1字上げ](新党わさお合唱団)
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一方で、宮田選手をそのまま五輪に出場させると、世論やスポンサーの厳しい批判を同協会が浴びてしまう危惧があった。
そこでこの場を切り抜けるために考え出された方法が、「白黒つける『処分』ではなく、自発的な『辞退』という形をとって、とにかく宮田選手の姿を五輪からなくすこと」だったのではないか。そして、内部通報に動揺する19歳の宮田選手を大人たちが、『辞退』の線で説得をすることは難しくなかっただろう。
[#地から1字上げ](「これは処分ではない」…)
[#地から1字上げ](宮田笙子を「パリ五輪辞退」で決着)
[#地から1字上げ](日本体操協会の対応はフェアなのか)
[#地から1字上げ](元テレビ朝日法務部長の西脇亨輔弁護士が指摘)
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石丸君、君は政策も頭も空っぽでいい。ただ、われわれと無党派層の票を繋いでくれ。