俳句、来るべきもの(討論)

磯海女とずつと一緒に国道行く 飯島晴子

 

[#地から1字上げ](ほんだはら潰し尽くしてからなら退く――飯島晴子)

 

だが、どれほど建設的な内容になっているだろうか、どこまでディベートに進化しているだろうか、そんな期待をもってテレビの前に座るたびに、その中身と進行に辟易させられてしまう。まるで地域を代表した村長たちが寄り合いをしている、パウワウ(北米インディアンチーフの談合のこと)のような印象を受けてしまうのだ。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二七頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

私の提唱するディベートとは違う。娯楽的な要素を取り入れようとする制作者側の意図を理解しないでもないが、どうも建設的な議論に必要な厳粛さとルールに欠けているのだ。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二七頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

本来のディベートでは、相手からどれだけ意見や主張を引き出せるかも重要なのだが、残念ながらこの番組の論客たちは、持論を強引に押しつけようという傾向が顕著で、相手から学ぼうという意欲を感じ取ることができない。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二七頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

まして、自分の意見よりも建設的な意見が提出されたりすると、ムキになって感情的な反論を加える。そこに、自分の存在を意識させたいといわんばかりの他の論客が、テーマから外れた見当違いの意見を割り込ませようとするから、支離滅裂、ルール無視の言葉の殴り合い状態へと発展してしまう。だから、朝までかかる。これは、討論ではなく、口論である。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二七頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

かつてこの番組では、摘発される直前のオウム真理教の幹部らを招いて討論を行なったことがあった。

 

この団体のメンバーで、現在は逮捕拘留中の上祐史浩は、ディベートの使い手として名を馳せた人物である。彼のディベートは、周囲を煙に巻くためのものでしかなかったが、ディベートの術そのものに限定すれば、論陣の張り方、反駁の構成パフォーマンスなどは、ほかの論客たちの上をいくものであった。

 

まるで、丸腰で闘っている知的格闘家の群れに、上祐はピストルという飛び道具をもって乗り込んだようで、カッコよく映ったに違いない。というのも、田原総一朗をはじめとする論客の意見は皆、居合の型が多く、へっぴり腰で竹刀を振り回しているようなもので、英語のディベートで知的武装された上祐には届かない。

 

いささかでもディベートの経験のある人ならば、上祐の見えすいた詭弁など見抜けるはずなのに、そこをだれも突くことができない。私などは、歯がゆい思いで見ていたものだ。

 

周囲が話すことに夢中になり、上祐の詭弁をだれも聞いていなかったからだ。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二八頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

スピーチは、話し方のうまいほうが勝つが、ディベートは、聞き方のうまいほうが勝つ。「敵を知り、己を知れば、百戦あやうからず」の孫子の兵法がディベートの極意である。討論に絶対負けない方法は、相手の矛盾を見いだし、詭弁を見抜くことだ。それには、じっと聞くことが大切なのだ。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二九頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

外国人記者クラブでの上祐のパフォーマンスは、敵ながらあっぱれだった。

 

一時間近く遅れて来て、オウムの宣伝をする。そして、「スピーチはいらん、質問させろ」という外国人記者たちに心理的作戦を用いる。「なぜ、仮谷氏を拉致したのか」という質問に対しては、「あれは、警察だ。警察官が彼を連行したことは、これらの証人が立証してくれます」と、オウムの女性信者たちを指す。なんなら一人一人証言を」という余裕だ。そのため、「それじゃあ仕方がない。時間がないから」といって、外国人記者たちもあきらめて、次の質問に移る。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、二九頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

そして、「これは宗教弾圧だ」と大上段に構える彼の詭弁が一方的に通ってしまい、外国人記者団は、すっかり煙に巻かれてしまった。これは、時間的な焦りを巧みに利用した上祐の小ざかしいディベート術である。

 

私なら、彼らにこう質問しただろう。「その証人の証拠能力について問うてみたい。オウム信者以外の人の証言が求められますか」と。議論に絶対負けないためには、絶対に答えられない質問をすることだ。

 

[#地から1字上げ](「朝まで生テレビ」はディベートと言えるか、三〇頁)

[#地から1字上げ](松本道弘、ガツンと言えるディベート術、河出夢新書、1999年)

 

あなたはどう思いますか。

 

地方に講演に行くと、「われわれの所にはいつアベノミクスが来るのか」とよく聞かれる。

 

[#地から1字上げ](御厨氏、NHKラジオ・池上彰の年末番組)

 

前日に対戦相手が合同チームとなり、「いつもと違う注目もされ、動揺はあった」と明かした。チームをまとめる立場から、この日の試合後には安堵の涙も流した。「苦しい試合を乗り越えてさらにチームはまとまる」。大一番に向け、この上ない1勝だ。

 

[#地から1字上げ](石川大熱戦、リオの雪辱)

[#地から1字上げ](日本女子銀以上、世界卓球コリア撃破)

[#地から1字上げ](読売新聞、2018年5月5日)